2024/12/23
固定資産税とは?納税通知書の見方から節税方法まで解説
住宅を購入すると、支払わなければならなくなるのが固定資産税です。既にお家をお持ちの方は、納税通知書が毎年4月頃に届くことからよくご存知でしょう。一方で、これから購入される方は、購入後に発生する費用として見込んでおく必要があります。そこで今回は、固定資産税について、納税通知書の見方や計算方法、あるいは節税方法まで解説します。
固定資産税とは?都市計画税との違いは
所有する不動産にかかる税金が、固定資産税や都市計画税です。まずは、それぞれについてどのような税金なのか理解しましょう。
そもそも固定資産税とは
固定資産税は、所有する土地や建物に課税される税金です。固定資産税課税標準額(以下、課税標準額という)に、一定の税率を掛けて税額をもとめます。
毎年1月1日時点において、土地や建物を所有している人が支払う義務があります。
都市計画税も固定資産税と一緒に払う?
自治体に指定された市街化区域に不動産を所有している場合、固定資産税に加えて都市計画税が課せられます。(※)都市計画税は、市街化区域の道路や下水道などの整備や区画整理の費用として利用される税金です。
ルールは固定資産税と同様ですが、税率が自治体により異なり、かつ上限は0.3%と決められています。
※都市計画税が課せられるかは自治体によって異なります。
固定資産税の納税のルール
ここでは、固定資産税の納税のルールについて説明します。
誰がいつまでに払う?
毎年1月1日時点において、土地や建物を所有している人の手元に、毎年4月頃に、その年に支払う固定資産税の納付書が郵送で届きます。
固定資産税を一括して納付する場合は、4月末日が納付期限になります。また、分割して納付する場合の納付期限は以下のとおりです。なお、末日が土休日の時は、翌日が期限となります。
・第1期 4月末日
・第2期 7月末日
・第3期 12月末日
・第4期 2月末日
納付方法は、納付書を用いた現金での支払いのほか、口座振替、クレジットカード、ペイジーがあります。
課税明細書・納税通知書・納付書の違い
固定資産税の支払いに関する書類には、納税通知書、課税明細書、納付書があります。それぞれの違いは次のとおりです。
納税通知書は、固定資産税の税額や納付時期を通知する書類であり、毎年4月頃に市や町から送られてきます。
課税明細書は、固定資産税の課税対象となる土地や家屋の、住所や課税標準額、税額などを詳細に示した書類です。納税通知書に同封されています。
納付書は、実際に固定資産税を金融機関などで支払う際に使用する書類です。課税明細書と共に納税通知書に同封されています。
不動産を売却したらどうなる?
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人が支払う義務があるといいましたが、年の途中で土地を売却した場合はどうなるのでしょうか。
一般的に、あらかじめ売却価格に含めておくか、買主に日割した固定資産税を支払ってもらうかの、いずれかの方法が多いようです。ただし、買主に支払ってもらう方法は法令に基づく行為ではないことから、不動産売買契約書に固定資産税を負担してもらう旨を記載しておく必要があります。
不動産を購入する場合は、不動産売買契約時に、今年分の固定資産税の支払いについて確認するとよいでしょう。
具体的な固定資産税の支払い例
固定資産税のルールをお分かりいただけましたでしょうか。では、固定資産税の計算方法や課税明細書の見方を解説します。
課税明細書の見方
課税明細書には、「固定資産税評価額」、「課税標準額」、「固定資産税課税相当額」が記載されています。
固定資産税評価額は、土地や家屋の時価に約70%を掛けて算出されています。
土地の評価額は、ベースとなる路線価が変動することから、3年ごとに評価替えを行い見直されています。路線価の上昇に伴い、突然高くなることもあるようです。また、家屋の評価額は、市や町が個々の不動産の調査を行い決定していますが、改築などを行わなければ経年劣化を踏まえ年々低下します。
課税標準額は、固定資産税を算出する基本となる不動産の金額です。固定資産税評価額と一致する場合もあれば、特例措置などにより固定資産税評価額より低くなる場合もあります。
固定資産税課税相当額は、課税標準額に税率を掛け合わせた概算金額です。なお、固定資産税額とは端数処理の方法が異なることから一致しません。
固定資産税額の計算方法
固定資産税額の計算方法は、課税標準額に税率(1.4)を掛けた単純なものです。
「固定資産税額」= 「課税標準額」×1.4
なお、実際には、課税標準額の1,000円未満を切り捨てて計算し、税率をかけて算出した金額の100円未満を切り捨てて固定資産税額としています。
より固定資産税を安く抑える工夫とは
最後に、特例措置を上手く活用することにより、固定資産税を安く抑える方法をご紹介します。
新築住宅に対する特例措置
新築住宅に対する特例措置は、令和6年3月31日までに新築した住宅が対象です。戸建住宅は、一戸あたり120㎡相当分を限度に、建物部分の固定資産税額の2分の1が3年間減額されます。
また、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアした長期優良住宅の場合、固定資産税額の減額期間が3年から5年へと延長されます。
土地部分については、小規模住宅用地(一戸あたり200㎡までの部分)は固定資産税評価額に6分の1を掛けて、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は固定資産税評価額に3分の1を掛けた額になります。
新築マンションに対する特例措置など
マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物)も、一戸あたり120㎡相当分を限度に、建物部分における固定資産税額の2分の1が減額されます。対象は、戸建住宅と同じく令和6年3月31日までに新築したマンションは減税期間が5年と長いことが特徴です。
また、マンションにも長期優良住宅の軽減措置があり、固定資産税額の減額期間が5年から7年へと延長されます。
土地部分についても特例措置が適用されます。軽減内容は、戸建住宅と同様です。
なお、タワーマンションの場合、同じ建物でも高層階は高くなるように、および低層階は安くなるように補正される例外措置があります。
省エネや耐震対策などリフォームへの特例
令和6年3月31日までに、耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修工事を行なった場合、翌年分に限り家屋の固定資産税が減額されます。なお、耐震改修は2分の1、省エネ改修・バリアフリー改修は、3分の1です。適用可能な住宅や工事の種類が細かく定められていることから、工事を計画する際に確認するとよいでしょう。また、工事完了後3ヶ月以内に市や町に申告が必要です。
なお、税額をはじめ特例措置は、2022年5月末日現在の情報であり、今後変更になる可能性があります。必要の都度、新しい情報を確認するようにしましょう。